群馬県生協連・群馬県消団連・前橋市消団連主催
福島視察学習バスツアーを実施しました
群馬県生協連災害対策協議会は、群馬県消費者団体連絡会・前橋市消費者団体連絡会(ともに八田直樹会長)と共催で、12月6日(木)に福島視察学習バスツアーを実施しました。ツアーには、当日ガイドを務めていただいた丹治杉江さんを含め、24名が参加しました。
福島への行き帰りのバスの中では、ガイド役で東電損害賠償訴訟群馬原告団長の丹治杉江さんから、被災地の様子や群馬での裁判の状況などについて資料をもとに詳しい説明がありました。
丹治さんは、原発事故から8度目の秋を迎えて、未だに事故の原因究明も事故処理の目途も立っていない状況の中、道路をはさんで帰還困難区域と避難解除準備区域が隣接しているところもあり、賠償金や帰還をめぐって住民が分断され、子どもたちのいじめ問題や健康被害問題もますます深刻になっている、と指摘しました。国が「帰れる」といっても、除染できているのは家の敷地から20m以内だけ、帰りたくても帰れない状況がある、一方では廃炉作業員の移住が進み、見かけ上の住民の数は増えていると説明しました。 現地ガイドを務めていただいた伊東達也さん(原発事故いわき市民訴訟原告代表)は、いわき市四ツ倉からバスに乗り込み、事故対応の拠点だったJビレッジの現在の様子、津波と原発事故の二重の被害にあった浪江町請戸地区、帰還困難区域にはさまれた国道6号線、などの様子を現地の人の生活と重ねて解説し、車窓からの見学を案内しました。桜並木で有名な夜ノ森地区では、廃校が決まった富岡第二中学校前で降車し、2011年3月11日の卒業式の状態がそのまま残されている体育館を建物の外から見学しました。ここもまもなく片付け作業が始まるとのことでした。
避難解除から3年を経過した楢葉町では宝鏡寺に立ち寄り、昼食休憩のあと住職の早川篤雄さん(福島避難者訴訟原告代表)のお話しを聞きました。
早川さんは、避難指示が出された地区の小中学校の児童数は震災前の10%、高校の生徒数は50%と深刻な状況であり、楢葉町では71.5%が帰還していないと説明しました。原発建設時から反対運動に関わってきた早川さんは、チェリノブイリ事故を学び、「原発大事故、つぎは日本で起こる」と警鐘を鳴らしましたが、今回の事故に無反省のまま原発再稼働を続ければ、「つぎも日本」となってしまう、と原発推進政策の危険性を説きました。
視察に入った日は比較的線量の高かった日で、帰還困難区域の間を走る国道のバス車中で、最高値3.97マイクロシーベルト/時を計測しました。瞬間の数値であり直ちに影響があるものではありませんが、1年間被ばくしつつければ政府が避難解除の目安としている年間被ばく量20ミリシーベルトを超える水準ではありました。
視察学習バスツアーのしめくくりに、群馬県消費者団体連絡会副会長坂本棟男さんより、現地の状況を実際に見ることができ、被災地の苦しみが改めて実感できた、群馬からいっそう被災地支援を消費者運動とともに進めていきたい、と参加者にあいさつがありました。