ぐんま食の安全・安心県民ネットワーク
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県民ネットワークが独自事業
「公開県民講座~プロが勧める かしこい栄養の摂り方」を開催しました
ぐんま食の安全・安心県民ネットワーク(会長:中村隆夫・県生協連会長)は、県民ネットワーク初の独自事業として、「公開県民講座~プロが勧める かしこい栄養の摂り方」(群馬県後援)を開催しました。この講座は、メインテーマに「フードファディズム(*)を考える」を掲げ、特定の食品の効能への過度な宣伝や報道に惑わされず、バランスの取れた食生活の大切さについて正しく知ってもらおうと企画されました。講座には事前申し込みのあった県民、行政担当者、県民ネットワーク事務局など32名が参加しました。
(*)「フードファディズム」とは・・・食が健康に及ぼす影響を過大・誇大に捉え、関連情報を偏執的なほどに気にすること、および、そのために却って通常の健康的な食生活からかけ離れること。(出典 : weblio辞書)
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県民ネットワーク斎藤剛事務局長が開会を宣し、主催者を代表して、ぐんま食の安全・安心県民ネットワーク中村隆夫会長があいさつしました。
中村会長は、県民ネットワークの概要と活動に触れ、食の安全・安心の実現のため、消費者、生産者、事業者、行政が一緒に手を取り合って進めることが大切と訴えました。そして県民ネットワークとして初の取り組みとなる公開県民講座が、参加者にとって稔りある講座となるよう期待していると述べ、情報提供と講演について紹介しました。 プログラムの一つ目「情報提供」として、群馬県健康福祉部食品・生活衛生課 食品衛生係 原田明菜氏から、「栄養成分表示を活用しよう~栄養成分表示とは~」と題して報告いただきました。
原田氏は、来年4月1日に完全義務化となる栄養成分表示について触れ、栄養成分表示は「健康で栄養バランスがとれた食生活を営むことの重要性を消費者自らが意識し、商品選択に役立てることで適切な食生活の契機としてほしいとの期待が込められています」と切り出しました。そして、義務化された栄養成分表示は5つの表示項目名とその順番が決められていて、エネルギーや栄養素の摂取不足や摂りすぎを防ぐことに役立てることができると説明しました。その後、一人ひとりに必要なエネルギーや栄養素の目安の算出方法を解説し、とりわけ塩分(食塩相当量)の摂りすぎに気をつけ、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを心がけましょう」と呼びかけました。 続いてプログラムの二つ目として、社会福祉法人恩賜群馬県済生会前橋病院 栄養科係長、管理栄養士 宮崎純一氏から、「健康にいいって本当?~フードファディズムを考える~」と題して講演していただきました。
宮崎氏は、「“おいしければ健康なんて気にしない”や“健康のためならまずくてもいい”は、いずれも極端で困ったもの、“そこそこの健康とほどほどの食生活”への興味関心が大切」と語り始め、学校や行政、医療からの情報発信は目立たず、食品業界やマスメディアの情報が強く消費者に影響を与えている状況を、同じ番組でも放送回によって評価が逆転している例などを一つひとつ解説し、消費者が正しい認識を持つ必要性をわかりやすく解説していきました。
さらに番組で根拠として取り上げている学術論文等については、「分量に着目しておらず、論文で指摘された効能を得るためには摂取不可能なほどの量を食べないと効果が得られないという例も多い」など、宣伝等による消費者の期待と実際の効能に差があることについてもデータにもとづいて指摘し、『情報の安全性』を見極めることが大切と強調されました。
そして、資料として配布した「食事量の目安を知るためのランチョンマット」を使い、主食、主菜、野菜の食材を並べてみて、「自分の食事」を見直しましょう、と呼びかけました。 情報提供、講演が行われたあとで、参加者との意見交換が行われ、「健康番組に有名な医師が出演して健康に関する発言などしているが、どう見ていけばいいのでしょうか」「家庭で調理するときの栄養成分量のはかり方はどうしたらよいのか」「食品30品目推奨といわれているが、品目を重視して摂るとカロリーオーバーになってしまうのではないか」などの質問が出されました。
宮崎氏、原田氏からは、それぞれ「医師によって信憑性が高まることはあると思う。文献を読んでの発言と思うが、栄養学の立場からは、分量などの意識が薄いのではと感じている」「家庭で調理する場合は、栄養成分を事細かに見るのではなく、食事バランスを見ていくのが大切と思う」「最近は30品目という言い方はしなくなっていて、品目数優先というよりも食事バランスを見て品目数を増やしていくといいのでは」などとアドバイスがありました。 閉会にあたり、県民ネットワーク本田茂孝幹事より「個人的に栄養指導でお世話になった宮崎先生のご協力を得て講演をいただき、知っているつもりになっていることも、もっともっと知らなければならないと感じた。これからもぐんま食の安全・安心県民ネットワークの活動にご協力をお願いします」とあいさつがありました。
参加者アンケートからは、「栄養成分表示の重要さと大切さがわかりました」「情報にまどわされないよう、しっかりと考え乍らバランスのとれた安全な身近な食品を中心に食することがやはり一番だと思いました」「食事量の目安を知るためのランチョンマット、実用的でありがたいです」「情報を読み解く力が必要なことが大切だとよくわかりました」等の声が寄せられました。