群馬県との協働事業として第9回地域語部の会を開催しました
~食品を介した放射性物質の健康への影響について~
ぐんま食の安全・安心県民ネットワークは、7月25日(月)、群馬県との協働事業「第9回地域語部の会」をJA邑楽たてばやし本所(館林市)で開催し、132名が参加しました。東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、県内外で農畜産物等から放射性物質が検出されるなど、食品を介した放射性物質の健康影響に対して消費者の不安が高まっていることから「~食品を介した放射性物質の健康への影響について~」のテーマで開催しました。
冒頭、食の安全安心県民ネットワークの中嶋源治会長が、東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故により食の環境や生活環境が大きく変化し、国民に不安が広がっている中で本日の地域語る部の会を開催したことの意味について触れ、主催者を代表して挨拶を述べました。
講師には、原子力に関する総合的な研究開発機関である独立行政法人日本原子力研究開発機構の量子ビーム応用研究部門の小林泰彦氏をお招きしました。
小林氏は、「正しい知識と情報で誤解をとき、根拠のない『安心』ではなく、冷静に平常心で『正しく怖がる』ことが必要」であると述べ、放射性物質や放射線の起源や自然界での存在、居住環境(建物の材質や階数など)による放射線量、測定方法に関する基礎知識、放射線による健康への影響、「しきい値なし直線モデル」という考え方、チェルノブイリ20年後の教訓、食品安全委員会の「放射性物質に関する緊急とりまとめ」のポイント、暫定規制値の考え方、内部被ばくの線量計算などについて、科学的な視点から分かりやすくお話しくださいました。
たとえば、『飲料水は200ベクレル/Kg以内に』という食品に関する暫定規制値がどのように決められたのかということについて、次のようにお話しされました。
食品安全委員会は、「食品中の放射性物質は、本来、可能な限り低減されるべきものである」という基本的な考え方にたって、国際機関が低減処置を要するとしている線量レベルの範囲から、最も低い値、すなわち5ミリシーベルト/年を規制値として採用した。言い換えれば、5つある食品群(①飲料水、②牛乳・乳製品、③野菜類、④穀類、⑤肉・卵・魚介類その他)のすべてが汚染されたと仮定しても、どの食品群をとっても1年間の被ばく線量が1ミリシーベルトを超えることがないように規制値を決めた。次に、食品群ごとの年代別平均摂取量(1日当たり)から逆算し、それぞれの年代が1年間通常の摂取を行ったとしても1ミリシーベルト/年を超えることのない最高放射線濃度(ベクレル/Kg)を食品群ごとに年代別に算出。それぞれの食品群ごとの各年代別の最高放射線濃度のなかから最も低い値となった年代の放射線濃度をとって、その食品群の暫定規制値が決められている。こうして放射性セシウムの暫定規制値は、①飲料水、②牛乳・乳製品については各200ベクレル/Kgに、③野菜類、④穀類、⑤肉・卵・魚介類その他については各500ベクレル/Kgに決められた、ということです。