県連女性協議会が組合員オンライン学習交流会を開催
群馬の男女共同参画と感染拡大による女性への影響について学びました
群馬県生協連女性協議会は、4月21日(水)に「群馬の男女共同参画とコロナの影響について学ぶ」をテーマに、Zoomを利用した組合員オンライン学習交流会を開催しました。群馬県生協連としてもオンラインでのイベント開催は、初の取り組みとなりました。
学習交流会の発信会場となった群馬県ぐんま男女共同参画センターには女性協議会運営委員、県連事務局の7名が参加し、同センター所長石井富美代氏による基調講演もここから発信しました。会場・オンラインを含めて7会員生協から38名が参加しました。
交流会の司会には吉田寿美子女協議会協運営委員(はるな生協)があたり、開会にあたって女性協議会田中利恵子会長から「コロナの影響により初のオンライン開催となり、例年のように講師や参加者と顔を合わせてのコミュニケーションはかないませんが、オンラインという新しい形の参加が学べる裾野を広げたと前向きに考えたい。今日は群馬県ぐんま男女共同参画センター石井富美代所長さんの講演を学ぶことを通して、コロナ禍によるくらしや地域の課題についてみなさんと一緒に考えたい」とビデオメッセージによるあいさつがありました。
基調講演(要旨) 講師 群馬県ぐんま男女共同参画センター所長 石井富美代氏
基調講演では、群馬県生活こども部生活こども課男女共同参画室長・群馬県ぐんま男女共同参画センター所長 石井富美代氏から、「群馬の男女共同参画と新型コロナ感染症拡大の女性への影響」と題して講演していただきました。男女共同参画社会とは、との説明から始め、昨年10月に改訂した「群馬県男女共同参画データブック」と昨年9月から10月にかけて実施した「新型コロナウイルス感染拡大が女性に及ぼす影響に関するアンケート調査」の結果から、群馬県の男女共同参画の現状や課題、感染拡大による女性の状況の変化などをわかりやすく解説しました。
男女共同参画社会とは
男女共同参画社会基本法には、性別にかかわりなく、その個性と能力と十分に発揮することができる社会、かつともに責任を担うべき社会、と定義されています。
この社会を実現することで、「職場に活気」「家庭生活の充実」「地域力の向上」がはかられ、一人ひとりの豊かな人生が実現されることになります。
群馬県の男女共同参画の状況
群馬県の指導的地位における女性の状況では、農業委員(の女性の割合)が全国都道府県中7位という一方で、市町村議会議員、県採用職員、市町村審議会等委員、市町村管理職、高等学校教頭以上、中学校教頭以上、自治会長の各指標で全国下位10番目以内であり、特に自治会長は全国47位と最下位です。
就業分野では、M字カーブの谷と言われた子育て世代女性の有職率が77.7%と台形に近くなっていて、女性の約6割が非正規就業者、約4割が正規であり、男性の8割正規、2割非正規という状況と大きく異なっています。給与をフルタイム就業者のみで比較しても、男性を100とすると女性は74.2と賃金格差は依然として大きな開きがあります。
家庭の役割では、理想では「男女がともに担うべき」とする意見が最も多いですが、現実は「主たる収入」確保は男性、それ以外の家庭内の役割を女性が分担とのケースが多くなっています。
コロナ禍が女性に及ぼす影響について
昨年秋にインターネット(県庁電子申請システムを利用)で公募したアンケートに826人から回答が寄せられ、結果をまとめました。
- 働き方の変化では、変化があった人となかった人は半々くらいで、会社の都合で休んだことがある人34人、自己または会社の都合で辞めた人は13人ありました。
- 家庭の収入では、収入が減ったと回答した人が167人(20.2%)、今後収入が減りそうと回答した人が308人(37.3%)でした。
- 生活や行動の変化では、家事負担が増えたとの回答が246人、パートナーとの関係が悪くなった は、DVを受けるようになった を含めて54人の回答がありました。一方で家族との食事の回数が増えたなど以前より良くなったとする回答も53人ありました。
- 心身に変化があったかの問いには、576人(69.7%)があったと回答し、そのうち320人が不安な気持ちで落ち着かない、ストレスで身体の調子が良くない等と回答しています。
アンケート結果からの分析について
ぐんま男女共同参画センターにどんなサービスを望みますかとの質問には、オンライン講座や相談窓口の掲載、女性のための電話相談の継続などの回答が多く寄せられました。別の県民意識調査ではDV被害は女性の4人に1人が経験ありとの結果で、そのうち約6割がだれにもどこにも相談していないと回答していて、表面化していないケースも多く、コロナ禍での増加が懸念されるところです。感染拡大の影響で女性、若者の雇用は直撃を受け、とりわけ非正規就業者の雇用・収入に大きな影響を与えています。
アンケート調査の結果から、以下の分析を行っています。
- 感染拡大は女性への影響が深刻。
- 女性の非正規就業者が受けた打撃は極めて大きく厳しい状況。
- DVや性暴力の増加、深刻化が懸念される。
- 不安や悩みを抱え、心身の不調を訴える女性が増えている。
- シングルマザーから収入減少、生活が苦しいとの切実な声。
- 女性の家事・育児等の負担増にも留意が必要。
課題解決の方向性について
早急に、「経済的支援」「心身不調への支援」「DV・性暴力への対応」が必要です。
中長期的には、ポストコロナにあって格差を克服したジェンダー平等に向けた対応が求められます。「誰も取り残さない、包括的な社会の実現」=「男女共同参画社会の実現」を全庁で取り組むとともに、各女性団体の皆様と協働して事業を推進していきます。
石井所長による記念講演についての質疑応答に続き、会員生協からの事例報告として、生活協同組合コープぐんま管理部人事課長内山玲子さん、利根保健生活協同組合利根中央病院看護部長布施正子さんからの報告を聞きました。
コープぐんま 内山玲子課長の報告(要旨)
感染拡大で地域生協に働く女性にも大きな影響がありました。学校の休校による特別有休制度を利用した16名は全員女性でした。緊急事態宣言で注文が増えて欠品が多くなり、組合員さんから多くのお叱りや失望の声があり、配達先では対面のお渡しが拒否され、玄関先に置いて行ってほしいと言われたり、保育園からこれから中に入らないでくださいと言われたこともありました。一方で「いつもありがとう。大変な中届けてもらい助かっています」など励ましの声もいただき、自分たちの仕事が組合員さんの生活を支えていることを実感しました。
本部では店舗応援やリモートワークにより職場の密を避けるなどの対応をしました。まだまだ影響は続いていますが、生協職員として組合員さんの生活を支え、頑張ろうと思っています。
利根保健生協 布施正子部長の報告(要旨)
第1派のときに感染対策を強化しながら陽性患者さんを受け入れ、看護師等職員が陽性となり、保健福祉事務所との連携のもと職員を守る、患者を守る、病院を守ることを目的に対策本部を立ち上げ、徹底的な対策を講じました。
大きな問題としてコロナハラスメントがありました。利根中央病院勤務ということだけで家族の出勤が断られる、保育園・学童からもお断りなどありました。怖くて出勤できないなど職員の心的ストレスもありました。
そんな中で全国や地元の多くの方からのメッセージや物資等の支援に支えられて病院再開に向けて頑張ることができました。コロナ禍だからこそ、支えあい、つながりあいの医療生協らしい活動をしていく必要があると感じています。多くの方々とできたつながりを財産として、利根中央病院としてできることは何かを考えながら、地域の人たちの力となれるような医療活動を続けていきたいです。
会員生協からの事例報告への質疑応答が行われたあと、閉会にあたり、女性協議会藤原京子副会長より「これまで活動が制限されてきましたが、1年ぶりに学習交流会を開くことができました。ワクチン接種が始まっていますが、まだまだ収束は先のことと思います。これからの活動の制限もあると思われますが、今後ともみなさまのご協力をお願いします」とあいさつがあり、閉会となりました。